http://mainichi.jp/select/news/20150701k0000e040226000c.html
JR東海などによると、新幹線はトンネルに入る際、車内の気圧が急激に変化する現象を防ぐため、車内の気圧を一定に保つ仕組みになっている。換気装置はあるが、排煙設備はないという。
排煙設備がないことについて、JR関係者は「燃えにくい材料の使用に徹することで被害を最小限に抑える取り組みを続けた経緯があり、建物にあるような排煙設備は想定しにくかった」と説明したうえで「今回のように車内に持ち込まれた可燃物が発火し、大量の煙が出る事態への対応は難しい」と話した。
また、JRによると、車内で火災が発生した場合、消火作業で感電する可能性があるため、マニュアルで送電を止めて停電にしたうえで消火をすることになっている。
関係者によると、今回の事件では緊急停止直後の午前11時41分に、消火作業に備えるために送電を止めた。停電で車両間の自動ドアは手動で開閉する状態になり、乗客は車掌により後続車両へ誘導された。
ただ、火元の1号車と2号車の間の自動ドアは停電によって開いたままになっていた可能性が高いという。このため結果的に2両目以降に煙が広がった可能性がある。
2011年5月に北海道で発生したJR石勝線の特急脱線、炎上事故でも車両内に煙が充満したため、国交省が対策の検討を始めた。車両間のドアを閉める仕組みについて議論されたが、乗客の避難誘導を優先する必要があり、鉄道の安全水準を定める国の技術基準の変更には至っていない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150702-00000038-mai-soci
ブザーは1両に2カ所ある。その説明文には「ボタンを押すと電車は止まります」という記載とともに、「車両火災の場合は、このボタンは使用しないで乗務員にご連絡ください」と書かれている。
JR東海によると、ブザーが押されると運転士は非常ブレーキをかけるが、火災では避難誘導にリスクがあるため、トンネルや橋での停止を避ける規定がある。ブザーだけでは火災かどうか分からないため、運転士は乗務員を通して情報を得る必要があるという。
今回、運転士はブザーが鳴らされた約2分後にトンネルを避け停止させた。火元は運転席から扉を挟んだすぐ後方で爆発音らしき音もあり、すぐに火災に気付いたとみられる。
最新型車両には各デッキに乗務員と直接話ができる非常用連絡装置もあるが、今回の車両にはなかった。JR東海は「今回の事件を受けて、今後の対策について社内で検討を進めています」としている。【本多健】